そんな君だから愛しい。







 今日は朝起きた時に、隣にあるはずの温もりを感じなくて目が覚めた。




「あれ・・・?」



 寝惚けた頭をガシガシと掻き雑ぜながら美味しそうな朝食の匂いがする方へ足を向けると、予想通り彼はそこに立っていた。
辺りはコトコトトントンと小気味いい音が響き渡る。
 中々こちらに気付かない彼に向かって分かるようにドアをノックした。


「あ、おはようございます。今準備が出来て起こしに行こうとしていたところだったんですよ」

 そう言って彼は眩しいくらいの笑顔で振り返った。
そして、その行動一つ一つに愛しいと思ってしまい、駆け寄ってハグをすると彼は「どうしたんですか?」と笑いながら俺の頭を撫でてくれる。

「菊ー!きく大好きーっ!・・・」
「ふふ・・・フェリ君は本当に甘えん坊ですね・・・」

 しょうがないな・・・とでも言いた気な彼は尚も俺の髪を撫でている。
 そんな余裕いっぱいの彼に少し納得いかなくて。(好きの返事もくれないし)いたずらも含めて耳を舐めた。

「ひゃっ?!へ?なな何??」

 凄く動揺して顔を赤くさせた彼は、身体全体でびくりとさせて俺の肩に両手をついて押してくる。だけど力が足りないのか押し返すことは出来なくて。
 そしてそんな彼を気にしないで俺は耳から首筋に舌を移動していく。

「菊がここに居るって実感したいんだー」(だからもう少しこのままで・・・)

 えへへと笑った俺に「もう!朝食冷めちゃうじゃないですか・・・!」と言いながらもさっきよりは抵抗がなくなったのを確認すると適当な壁に貼り付け、唇でそれを塞いだ。





そんな二人をルートビッヒとギルベルトが見付ける5分前の日常。
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