して欲しい10のお題。
【配布元:Abandon】
こわい 夢を見たんだ。
とても怖い夢…
いつもは隣で笑っていてくれてるジノが、ふと振り向いた時にはいなくなってるんだ。
その後は、辺りが真っ暗になって、悲しくて、寂しくて、その暗闇に自分自身も飲み込まれそうで・・・
嗚呼、結局は世界には自分独りしかいないんだ。
そう思い込んでしまいそうで。
何故だか涙は出なかった。
当の昔に枯れてしまったのだろう・・・
虚ろな瞳は、何処へなく視線を漂わせ、両手は何を掴むでもなく空を切る。
そして、ひとつ溜め息を吐き、足元を見た。
そこには、自分が殺してきた人々の屍の山に立つ自分の両足。
「っ・・・・!!」
いやだ、いやだ、いやだ、いやだ、いやだ、いやだ、いやだ、いやだ・・・!
無我夢中でその場から逃げ出した。
でも辺りは同じ風景で・・・
逃げ道なんてなかったんだ。
嗚呼、自分が。自分が殺ったのか。
次第に歩く早さが遅くなり、しばらくして立ち止まった。
「じの・・・・・っ」
こんな時に何で君の顔が浮かんでくるの?
何で君はここに居てくれないの?
何で今僕一人しかいないの?
いつもはしつこいぐらいに僕の後についてくるくせに・・・っ
「ふ・・・っ・・・」
何故か、今度は涙が出た。
嗚咽を漏らしながら、彼の名を呼びながら。
「お~~い!すーざく!起きろよ~!」
遠くの方で誰かの声が聞こえた。
それがジノのものと気付くのに少し時間が掛かった。
「ん・・・・・・えっ・・・と・・・?」
寝返りを打って、声のする方へ向くと、目の前にジノの顔があった。
咄嗟に布団を被る。
「寝ぼけてるのか~?今日は私の暇の相手をしてくれるんだろう??
あっ!それとも私は騙されたのか?!ひどいっ遊びだったのね!」
泣きまねをして見せて、僕の顔をちらりと横目で覗いてくる。
もろバレだってば。
「うん。とりあえず大きい図体でそれはキモイからね?」
だんだん目が覚めてきた僕はにっこりして言い放つと、ジノが今度は笑いながら
「あっ!なんだその言われよう!ヒドイっ!」
なんて、言ってきて。
どちらともなく自然と笑い合っていた。
やっぱり、ジノがいてくれると、自然と心が癒されていくのが分かる・・・
きっと、今の自分には彼が必要なんだ。
精神安定剤?ビタミン補給?そんな感じ。
「じゃぁ取り敢えず、服着替えたら街に出掛けようか♪」
「いいよそれで。じゃぁ向こう向いてて?」
「いや、男同士。気にする必要は・・・」
「ある。ジノ限定。」
「ひどいっ」
「さぁあっち行った行ったっ」
ちぇっと不満を漏らしながらソファに座り込み、口を尖らせ拗ねている。
その間に着替えを済ます。
僕の着替えるとこ見て何が良いのやら。
「ほらっもう終わったから。そんなにへそ曲げないでよ?」
「・・・別にそんなんじゃないけどさ。・・・・・・・そういえばさ、スザクさっき泣いてなかったか?」
急に真面目な顔になったかと思ったら、ジノはそんなことを聞いてくる。
その言葉に僕はついさっきまで見ていた夢を思い出す。
「・・・ジノのせいだよ多分。」
顔を俯かせて言う。
「うぇ??私?!何かしたのか?悪いが身に覚えがないんだが・・・」
さっきまでと違う雰囲気の僕に少し驚いたふうに彼は言うと、僕のほうを見上げて伺うような目で見てくる。
ジノ本人が何かをしたんじゃないんだ。
ただ、彼に少しでも話すことで少しでも辛いことが和らいでくると感じるから。
つい洩らしてしまった。
「・・・ジノが、いつも傍にいてくれたらいいのにな。・・・」
夢を思い出し、また、目元が熱くなる。
涙がじわりとにじみ出す。
それを見られたくなくて、ジノに背を向けた。
「っ・・・・・・・・えっ・・・?!」
いきなり、背中に熱を感じる。
じわりと滲んでいた涙が瞬間粒になって、首に巻きついたジノの腕に落ちた。
「何があったか知らないけどさ、私は頼りないか?相談さえしてくれないのか・・・私はいつも傍にいるだろ?」
優しさを含む声で言われると・・・
なんともいえない気持ちになる。
頭ひとつ分違うジノに包まれるように後ろから抱かれ首に巻きつく腕に縋るように両手と頬を摺り寄せる。
「・・・・・・君が・・・この先離れていかないとも限らないだろう・・・?」
「僕には・・・そんな不確かなことを信じる勇気がないんだ・・・」
(いっそのこと、僕を繋いでいてほしい。)
(君の傍から離れないように・・・)