スイカの食べ方。

 

ピンポーン

 

 

 


突然鳴り響いたチャイムに、今まで読んでいた本を閉じて机に置くと「はぁ~い」と返事を返しながら玄関を開く。

 

 

「やあ」

「…ああ、スザクか。いきなりどうしたんだ?」

 

 


扉を開けて目の前に現れたのは茶色いくせっ毛がチャームポイントな親友のスザクだった。


今日は彼が来る約束はなかった俺は一瞬目を見開き凝視してしまったが、またいつもの調子に戻し問い掛けた。


「へへ…。田舎からスイカ送って来たんだけど、食べ切れないからおすそ分けしようかと思って…はいこれ!」


そう言ってスザクは自分の後ろに持っていたスーパーの袋に入ったスイカを差し出してきた。

嬉しいのだけれど、正直2人では自分たちも食べれないだろう。

 

そう思い

「ありがとう。けれど、こんなに大きいんだし3人で食べないか?」

と提案してみた。

 

「え?!いいの?!」

 

そう言って彼はその翡翠色の目をらんらんと輝かせている。

尻尾の幻影まで見えてくる始末だ。

 

「ああ。それより、こんな所で立ち話もなんだし中に入らないか?」

「うん。じゃお邪魔させてもらうね!」

 

 

俺はスザクに貰ったスイカを切るべくキッチンに向かい、スザクはリビングに来ていた

ナナリーの話役になるためリビングに向かった。

 

 

**

 

 

「ルルーシュ!何か手伝うことってあるかい?」


先ほどまでナナリーと戯れていたスザクが、壁からひょっこりと顔を出し、いつもの笑顔を振り撒いてキッチンに現れた。
俺はそんな彼をの方へ一度振り返りまた元の作業に戻る。
俺がスイカを、お馴染みの三角の形に切り分け、そのうちの幾つかをサイコロの形に切る、自分とスザクはそのままでも食べれるのだが。
目の見えないナナリーには少し難しいので、一口大にして器に盛る。

俺の行動を横で見ていたスザクは「そういえば!」と何か思いついたように話掛けて来た。

「そういえば、ルルーシュはいつもどうやってスイカ食べる?」

何かと思えば、そんなことか。
と、少し拍子抜けした俺は、スザクの方へ器に盛られたスイカを手渡しながら答えた。


「…普通スプーンで食べるんじゃないのか?」

「そっかぁ~ルルーシュはスプーン派かぁ~!」

「いきなりなんだ?何かあるのか」

いや、こいつのいきなりは今に始まったことではないのだが…

「いや、特にないんだけどね。
あっちなみに僕はそのままかぶりつきかな」

器をリビングの机に並べながらそういったスザクは、俺の方を向いてにこりと微笑む。

俺とスザクの二人を順番に見てナナリーはクスリと笑い、スザクから受け取った器を手に「ありがとうございます!」と礼を言う。
ナナリーは今日も笑顔が可愛い。
まるで天使のようだ!
まぁ俺の妹だからな☆


「それじゃぁ食べよっか!」

「そうだな」

「いただきます!」


スザクの言葉を合図にスイカに手をつける。
ナナリーはフォークで。
スザクはそのまま。
そして俺は前にも話したとおりスプーンで食べている。
横目でルルーシュの食べている姿を盗み見る。

伏せられた目に長い睫毛。

遠慮がちに開く小さな口。

髪の毛が邪魔だと左手で髪を掻き揚げる仕草。

君はどんな姿でも僕を虜にするんだ・・・

なんて考えながら見つめていたら、ふいに紫電の瞳とぶつかる。
彼は不思議そうにこちらを見ていた。

「どうしたんだ?」
「えっ?!なっななななんでもないよ!!」
「?そうか。ならいいが・・・」

「ふふふwスザクさんはお兄様がお好きですから仕方ありませんよね♪」

「「??!!」」

僕とルルーシュの会話にナチュラルに入ってきたナナリーに見透かされたようなことを言われ僕は慌てた。
が、同時にルルーシュも驚いているらしい。

何にだろう?
ナナリーの発言に?
僕がルルーシュを好きだということに?


「仕方ないとはどういうことなんだい?」

笑顔だ。
笑顔で、しかし口の端が確かにヒクヒクしている。
かなり動揺しているらしい。

「あら!だってお兄様もいつもスザクさんばかり見つめているじゃないですか!だから、お二人は互いに思い合っているので、その行為は仕方ないのです♪
はっきり言って、もういっそのことくっついちゃえば良いのにと思うのですが・・・?」

ナナリーはすごく嬉しそうに両手を合わせて話をしている。
それにただただ驚くばかりで。
ただでさえイレギュラーにかなり弱いルルーシュは普段より格段と口数の多いナナリーを前に口をあんぐりとさせていた。


「ああ。だからさっき『がんばってくださいw』だったのか」

「はい!見ているこっちがじれったくなるんですもの。
ああそうだスザクさん!
今日はお時間大丈夫ですか?」

名案だ!とばかりに僕に確認を取る。
今日も明日も一応軍の仕事は入っていなかったはずだ。

「ああ大丈夫だよ。いきなりどうしたんだい?」
「今日は泊まっていかれてはどうですか?」

にっこり微笑んでいるが明らかにその纏っているオーラは何処かの誰かさんを思い出す。

「いいよ。(やったね!これでルルーシュともっと長くいられる!)」


と、いうことで!
僕は今日、ルルーシュの部屋にお泊りですw

 

約一名、会話に入れなかった人。

「おっ俺に拒否権はないのか!!??!」

 

「お兄様は私のものですから!
拒否権なんて、あってないようなものですわ!」


 

 

end

 

 

 

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