プロローグ

今年初めての冬が来た。

 

 

 


家の中なのにも関わらず、息を吐くと白いもやができる。
暖かいのは布団と、今付けたばかりのヒーターだけ。
地べたにはじゅうたんなどは敷いておらず、あるのは本の山。


4畳ぐらいしかない部屋に、ベットとPC…それに、机とタンスと本棚2つ。
歩けるスペースなんてほとんどないに等しい。
それでもこのぐらいの広さが、俺には心地いい。
 広すぎると、何だか寂しいような…寒いような…そんな感覚に陥るからだ。
散らかりすぎもどうかと思うけれど、整いすぎているのも…なんだかイヤだ。
それこそ、自分は独りなんだと思いこんでしまいたくなる。

 

 


完璧にできているものは、壊したくなるから。
 




 何度片付けても、すぐに元に戻ってしまう。
自分はそれが一番いい状態だから、片付けない。
けれど、俺の知っているあの人は、毎日部屋に訪れては片付けてゆく。
何かブツブツ小言を撒き散らしながら。
もしかしたら、それを楽しみにしている自分が少しはいるのかもしれない。
そのために、自分では片付けようとはしないのかもしれない。

 


今日もまたあの人が来る…。
いったいどんな顔をして来るのか、楽しみだ…。



 



---------------------------------08/04/06(昼)製作*08/08/16UP