自分は自分なのだから、何も考えすぎることはない。
自分は何も悪いことはしていないと。
そう思っていた。
「お前の目って変だよな」
ある一人の男子が発した言葉。
彼の紫の瞳をみて、それに皆がうなずく。
「うちのかーちゃんが、そいつは化け物だから近づいちゃ駄目って言ってた。」
「面白そうだし、今日はこいつで遊ぼうぜ」
自分が戸惑っている間に次々と話が進んでいく。
いつもこんな感じで、何かにつけていじめられていた。
それでも。
いつか同じ人間として扱われたくて。
泣いて、鳴いて、啼いて…
時々自分の顔を鏡で見てみる。
「め……きれい……」
おもむろに自分の目に触れる。
これがなかったらいいのかな。
これがあるから友達にはなれないのかな…。
パリン
持っていた鏡を地面に叩き付けた。
そして、鋭い破片を手にとり思いっきり目に向けて刺した。
刺した左目から赤い液体が伝う。
それは血なのか涙なのか…
頬を伝い、顎を伝い、自分の足に零れ落ちる。
「知っていますか?紫という色は人間の瞳の色に決して現れない色なんですよ…」
-------------08/06/02製作*08/08/16UP